高齢社会を生き抜くには
6月6日(木)
金融庁が公表した金融審議会市場ワーキンググループにより纏められた
「高齢社会における資産形成管理」という報告書がすっかり物議を醸しています。
テレビのワイドショーなどでも再三話題に取り上げられ注目を集めたのはよいのですが、報道のされ方がまったくいただけません。何しろ主旨は真っ当な資産形成管理の手段の提言なのですが、その前提となる公的年金だけでは長生きすることで2千万円不足するとの記述にアナウンサーが噛みつき、高名な有識者と言われるコメンテーターたちが口を揃えて不足分を投資して埋めろとはとんでもない、投資なんて損するに決まってる、といったヒステリックな論調ばかり。それでは街の声のインタビューではと伝えられるのは、政府への無責任恨み節と、ますます節約に励んで消費を抑えて我慢するといったコメントにすっかり誘導されています。
小生は委員としてこの報告書作成に携わった立場から、生活者の変わらぬ縮み志向とメディアの無理解な報道に悲しみと憤りを同時に覚えました。この報告書は言わばセゾン投信が創業来主張し続けて来た、生涯軸での長期資産形成の必要性を厳しい現実に鑑み正面から提起した、至極真っ当な内容であると小生は考えますが、世論・世間とのギャップの大きさに愕然とします。
投資をギャンブル的投機行為としか理解出来ぬうえに、政府にすべて面倒をみてもらうことが当たり前との思考停止が蔓延した国民カルチャーのままでは、日本の生活者の多くが茹でガエルの如く、気づかぬままに今より貧しい人生を選択せざるを得ないことになります。
せめて既に行動を始めている私たち長期投資家が、社会に背中を見せて世間への気づきをコツコツと与えてまいりましょう!